otaku8’s diary

映画のこととか

『アクアマン/失われた王国』で『スーパーマンⅣ』を思い出す(ネタバレなし)

『アクアマン/失われた王国』を観た。本国での前評判があまりに悪かったので心して観たが案外面白かった(逆に前評判が異常に良い映画は蓋を開けてみたら…というケースもよく見る)。アーサーとオームのブラザーフッドものとして良かったし、アクションは前…

2023年映画ベスト10

2023年に観た新作映画について。2023年(12/19現在)は旧作207本、新作144本の計351本を観ました。ベスト10はこちら #2023年映画ベスト #2023年映画ベスト10① オッペンハイマー②フェイブルマンズ③タタミ④ ヒトラーのための虐殺会議⑤ ダンジョンズ&ドラゴン…

『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』は結構グロテスクだったという話(ネタバレあり)

『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』を観た。レビューをザッと眺めたところ、ティム・バートンの『チャーリーとチョコレート工場』でジョニー・デップが演じたウォンカに比べ、本作のウォンカには毒がないという意見が大半な印象だった。ただ、自分は…

『ジョン・ウィック』と『ノーカントリー』は似ているという話

『ジョン・ウィック』シリーズは単なる復讐譚だろうか?確かに「復讐」は重要なキーワードであるが、最新作まで観て思ったのは、このシリーズは「機械論、決定論的世界から抜け出したい男の闘争(逃走)劇」だということだ。この意味で、僕の好きな『ノーカ…

『君たちはどう生きるか』感想(ネタバレあり)

自分は熱心なジブリファンでも宮﨑駿ファンでもない。という立場として、特段面白くはなかったが嫌いではなかった。映像も久石譲の控えめな劇伴も良かった。ただ、全体的には鈍重な話運びをしながらも最後は駆け足であり、中途半端な作品だという印象は拭え…

『ザ・フラッシュ』感想〜DC映画史を駆け抜く〜(ネタバレあり)

『ザ・フラッシュ』の感想です。期待よりは下回ったが好きな映画である…と言いたいが、文句もある。 良かったところはキャラクター同士のフィジカルなやりとり。核となるバリーと母の場面は良かったので、そこは安心した。世界のために母を死なせるという着…

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』感想 不満点を中心に(ネタバレあり)

基本的に満足していて、三部作の締めとしては申し分なかったが、敢えて気になった点を中心にして書く。 ギャグシーンで停滞する(映像でギャグを見せてから台詞で再度そのギャグを解説するためだろう)とか気になる点はいくつかあるが、一番は、ガーディアン…

『シャザム!〜神々の怒り〜』ヒーローという理想(ネタバレあり)

面白かった。前作は肉親から捨てられ孤独だったビリー少年が血の繋がらない「家族」の一員になる話だった。今回のビリーはその家族との繋がりを大切にするあまり、彼らを束縛してしまっている。シャザムは「中身は子供」のヒーローであるが、ビリーはもうす…

2023年2月に観た新作映画

まあまあ 『#エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』傑作!壮大なのにインディペンデントな作りで,どこか懐かしい感じ.ユニバースにより撮り方が変わるのも面白い(ウォン・カーワァイ的な映像だったり).多層的で複雑だが,このカオスな…

2023年1月に観た新作映画

ぴこぴこぽよぽよ 『非常宣言』時代性を取り入れたテーマは良く、航空機内外で物理的に断絶された人々がどうやって互いに関わり合うことができるのかという視点も興味深かったが、ディテールを詰めないまま色々な要素を詰め込んだ結果ボヤけた印象に。特に後…

『ヒトラーのための虐殺会議』(微ネタバレ) "普通の"会議の席で

IMDbによれば、ヴァンゼー会議の三度目の映画化(テレビ映画)らしい。純会話劇で、ひたすらナチス幹部らがユダヤ人をどうするか話し合う様子が映される。特にドラマチックな展開もないから退屈だと思う人もいるだろうが、個人的には大傑作であった。 ヴァン…

2022年12月に観た新作映画

傑作が多かった 『フランス』様々な"顔"で魅せるレア・セドゥの独壇場。ジャーナリズムを虚栄心を満たす場だと思っていそうな人気キャスターを演じる。「撮る」という暴力を行使し、自らもそれに曝されながら次第に"顔"の切り替えが効かず崩壊していく。…

2022年映画ベスト10

恒例のベスト決めの時期。例年通りギリギリまで悩んでいたが、発表します。ちなみに上半期ベストはこちら。点数化も上半期と同じ基準で行った。総合ベスト10は映画祭や試写で鑑賞した日本未公開作品を入れたものと除外したものを分けたが、それ以降のランキ…

『フラッグ・デイ 父を想う日』感想 ペンがいっぱい(ネタバレなし)

www.youtube.com ショーン・ペンの前作『ラスト・フェイス』は評判の悪さでスルーしてしまっていたが、監督作『イントゥ・ザ・ワイルド』は自分にとってかなり重要な映画なので、今回はあまり期待せずに観に行ってみた。一般評価は微妙で賛否両論という感じ…

『THE FIRST SLAM DUNK』感想 ミリ知らでも楽しめる傑作(微ネタバレ)

「スラムダンク」という作品の存在くらいは今までの人生の中で認知していたものの、それが一体何なのかは全く知らなかったし、惰性のせいで調べようともしなかった。この映画についても観るつもりはなかったのだが、やたらと評価が高く、「映像作品として素…

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』感想 キャメロンのライフワーク(ネタバレなし)

新宿バルト9のHFRドルビーで鑑賞。これは観る前から分かっていたことだが、現実/虚構の差などどうでも良く思わせてくる映像についてはやはり全編凄まじい。特に『タイタニック』で使っていたような水没するリアルなセットとモーションキャプチャーのアバタ…

『ブラックアダム』感想 肉体の圧倒的な説得力(ネタバレあり)

ネタバレあり 特別試写会で『ブラックアダム』を観たが、感想を書くタイミングを逃していたのでそろそろ書いてみる。ロッテントマトでは評論家受けが悪く、一般観客に好評といった感触だが、まさにそんな映画。個人的には楽しめたが、言いたいこともある作品…

『マッドゴッド』感想 地獄巡回ぶらり旅(ネタバレあり)

ネタバレあり フィル・ティペットの『マッドゴッド』を観た.ティペットといえば,『ジュラシック・パーク』製作での神の一人だと前に書いたが,実際のところ『スターウォーズ』『スターシップ・トゥルーパーズ』なども彼がいなければ実現しておらず,やはり…

2022年11月に観た新作映画

新作をあまり観なかった月. 『ノベンバー』『マルゲリータ・ラザロヴァー』からの影響を感じる美しいモノクロームとは裏腹に被写体は大方汚い。また、話も突飛。しかしその中で、シンプルな情動に突き動かされた二人の儚いラブストーリーの美しさが際立つ。…

『EO イーオー』感想(前半ネタバレなし、後半ネタバレあり)

前半ネタバレなし、後半ネタバレあり www.youtube.com ネタバレなし イエジー・スコリモフスキ監督の新作『EO』をポーランド映画祭で観た。個人的なポーランド映画祭の思い出といえば、昨年イメージフォーラムで開催された『DAU. 退行』オールナイト上映の直…

『MEN 同じ顔の男たち』感想 グロテスクな男たち(ネタバレあり)

www.youtube.com ネタバレあります 試写会にてアレックス・ガーランドの『MEN 同じ顔の男たち』を観た。なかなか良かった。 アレックス・ガーランドはこれまで「ハードSFっぽい何か」を撮ってきた。本作はその「っぽい何か」の部分を煮詰めたような印象だっ…

第35回TIFF『パシフィクション』トロピカル・ノワールな『地獄の黙示録』(ネタバレなし)

www.youtube.com 東京国際映画祭で『パシフィクション』を観た。アルベルト・セラの映画はこれが初鑑賞。事前にかなりつまらないという評判を聴いていたので不安だったが、好きな映画だった。 舞台はフランス領ポリネシア。そこに赴任したブノア・マジメル(…

ちゃんとヒーロー映画だった『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』感想(ネタバレあり)

『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』を観た。チャドウィック・ボーズマンの死があって、どうなることかと思っていたが良かった。もちろんボーズマンに捧げられた作品ではあるが、『ブラックパンサー』の続編として良かった。 この映画には「継承」…

2022年10月に観た新作映画

映画祭の月 『恋するアナイス』先日観た『スペンサー』から引き続き『燃ゆる女の肖像』的な海岸のイメージが前景化したクィア映画でありながら、将来不透明な主人公が自己愛を見い出していく作品とも捉えられる。程よいユーモアが散りばめられており、コメデ…

第35回TIFF『ヌズーフ/魂、水、人々の移動』壁の穴から見出す希望(ネタバレなし)

www.youtube.com 東京国際映画祭で『ヌズーフ/魂、水、人々の移動』を観た。このサムネとタイトルが印象的で、とても観たかった作品。これは結構良かった。ユース部門に相応しい映画。 空爆により主人公一家の壁に大きな穴が開く。面白いのは、空爆自体は悲…

第35回TIFF『セルヴィアム ―私は仕える―』自分で考えないの?(ネタバレなし)

www.youtube.com 東京国際映画祭で『セルヴィアム ―私は仕える―』を観た。ルース・メイダー監督作品は『モニタリング』を鑑賞済み。 結論から言えば、悪い意味で期待を超えてこなかった。本作のテーマはキリスト教それ自体というよりは、何かを盲目的に信じ…

第35回TIFF『カイマック』人生の上澄みを集めてみた(ネタバレなし)

www.youtube.com 東京国際映画祭でミルチョ・マンチェフスキー『カイマック』を観た。マンチェフスキー監督の作品は『ビフォア・ザ・レイン』『ダスト』を鑑賞済み。本作の参考になりそうな『柳』は残念ながら未鑑賞。 これは傑作だった。鑑賞済みのマンチェ…

第35回TIFF『ライフ』三時間の地獄めぐり(ネタバレなし)

www.youtube.com 東京国際映画祭でエミール・バイガジン『ライフ』を観た。過去作の『ザ・リバー』は鑑賞済み。本当はその前の『ハーモニー・レッスン』を観たいのだが、なかなか観ることが出来ない。『ライフ』はIMDbでのスコアが4点台だったりと、事前に評…

第35回TIFF『タバコは咳の原因になる』シュールな戦隊モノ?(ネタバレなし)

www.youtube.com 東京国際映画祭でカンタン・デュピューの最新作を観た。最近、日本でも巷を騒がせている(?)デュピューだが、自分は『地下室のヘンな穴』を観逃してしまい、監督作では最近の作品『勤務につけ!』『マンディブル 2人の男と巨大なハエ』『…

『ジュラシック・パーク』について話したくなったのですこしだけ(自然 vs 人工)

*『ジュラシック・パーク 』『ジュラシック・ワールド』のネタバレあり 『ジュラシック・ワールド』のラストバトルに関して、あれは「自然の摂理 vs 人工物」だという意見をよく見る。つまり、実際に存在するティラノサウルスやヴェロキラプトル(=自然物…