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『アリータ・バトルエンジェル』 レビュー (ネタバレ注意)

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あらすじ

数百年後の未来。スクラップの山の中から奇跡的に脳だけが無傷の状態で発見されたサイボーグの少女アリータは、サイバー医師のイド博士によって新たな体を与えられ、目を覚ます。しかし彼女は、自分の過去や今いる世界についてなど、一切の記憶が失われていた。やがてアリータは、自分が300年前に失われたはずの最終兵器として作られたことを知り、そんな兵器としての彼女を破壊するため、次々と凶悪な殺人サイボーグが送り込まれてくる。アリータは、あどけない少女の外見とは裏腹の驚異的な格闘スキルをもって、迫り来る敵たちを圧倒していくが……。

アリータ バトル・エンジェル : 作品情報 - 映画.com

レビュー

 

「アリータ・バトルエンジェル」は作りこまれた世界観、魅力的なキャラクター、面白いストーリーを圧倒的な映像で描いた素晴らしいSF映画

自分は今作の原作「銃夢」を読んだことがありませんが十分楽しむことができました。

映像はとにかく素晴らしくアリータのモーションキャプチャーはめちゃくちゃリアルで食べたり、泣いたり、濡れたり難しそうな場面をどんどん見せてくれます。細部まで作りこまれたアイアンシティも素晴らしいです。個人的にはビジュアルだけで心を動かす映画はそれだけで観る価値は大いにあると思っているのですが本作はその一つだと思います。

キャストの演技は皆素晴らしいです。特にアリータ役のローサはとても魅力的です。

予告などで賛否の分かれた大きな目についてですが、実際に映画を観てみると目を大きくしたのは正解だと分かりました。劇中、アリータが過去の出来事を思い出すシーンがいくつかあるのですが、毎回カメラが目に近づいていき目のアップから回想シーンに繋がっていきます。また映画自体もアリータの目で始まりアリータの目で終わります。これは製作陣がインタビューで「大きな目はキャラクターの感情の窓だ」と言っている通り単なる漫画の再現だけではなく、意図した通りちゃんとアリータに感情移入しやすいようになっていました。

キャメロンらしく、アリータは強い女性として描かれていきます。強い女性としてサラコナーやリプリーと同じく徐々に戦士として目覚めていくのですが(今回は元々戦士でしたが)、アリータはより積極的に戦いに飛び込もうとします。前の2人は戦いの中で戦士にならざるを得なくなっていきましたが、アリータの場合、元々戦士なので「やっと本当の自分になれた!」という感じが伝わってきてティーンエージャーらしい(?)無邪気さも相まって良かったです。アリータがグリュシュカに放つ最後の台詞も好きです。

事前の情報で「続編ありきだ」というのを見て少し不安になったのですが個人的には全然不満は無く、確かに続編作る気満々な終わり方ではありますが、アリータの自分探しの結末として、しっかり一本の映画としても満足できました。悲しみからの「戦いはこれからだ!」という感じは「アメイジングスパイダーマン2」のラストと似ていますね。どちらも好きな終わり方です。(スパイダーマンは打ち切りになってしまったのでこちらは続編を作っ欲しいです。)

(CMでラストを見せるというのも同じですね(笑))

ケレン味たっぷりのアクション、無国籍感満載の世界観やベクターの中間管理職ぶりもとても良かったです。

不満点は大したことでは無いですが「無駄なシーンが無いこと」です。元々600ページほどあった脚本を圧縮したそうですが結構キツキツな印象はありました。キャラクターや世界観が魅力的なので個人的にはあと1時間くらい長くても観れた気がします。

まとめ

「アリータ・バトルエンジェル」は駆け足ぎみではありますが映像だけで観客を魅了する力のある映画であり、SF映画のレベルを一歩推し進めたと言っても良い映画です。そうでありながら映像だけの中身の無い映画にはなっておらずちゃんと魂のこもった作品になっています。日本の漫画原作という意味でも観る価値は大いにある映画です。